屋根置き太陽光の導入は、脱炭素に向けた第一歩です。ただ、工場の消費電力を100%再生可能エネルギーでまかなおうとすると、屋根の面積や夜間の電力使用を考えれば、太陽光だけでは足りない場合がほとんどです。カーボンゼロに向けて企業が取れる手段には、たとえば次のようなものがあります。

  • エネルギー効率の改善、高効率機器への切り替え
  • 再エネ証書(I-REC)の活用
  • EVや電化設備の導入

この記事では、このうちI-REC(再エネ証書)について、基本的な仕組み、メリットとデメリット、活用方法、インドネシアの市場動向を紹介します。

I-RECとは

I-REC(International Renewable Energy Certificate)は、太陽光・風力・水力などの再生可能エネルギーで発電された電気1MWhごとに発行される、国際的な再エネ電力証書です。企業はこの証書を使って「この電気は再エネ由来である」と宣言することで、温室効果ガス排出量のうちScope 2の削減を報告できます。

自社の環境への取り組みを客観的に示す手段として注目されており、日本でもNPOローカルグッド創成支援機構が発行主体となって2021年7月に実証プロジェクトを始め、2023年1月から発行対象を広げています【1】。

I-RECのメリット

Scope 2排出量の削減に使える
I-RECを購入すると、消費した電力を再生可能エネルギーとして計上でき、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)への報告やRE100への対応にも使えます。

自社で再エネ設備を持たなくても再エネを利用できる
屋根の面積や強度の制約で太陽光を設置しにくい工場や倉庫でも、電力契約とは別に環境価値だけを取得できます。

国際的な基準に沿っている
I-RECはGHGプロトコル、CDP、RE100など主要な国際基準に沿っており、グローバルなESG戦略にも組み込めます。

対外的な発信に使える
I-RECの利用実績は、CSRレポートやサステナビリティ報告書への記載、取引先や消費者への説明に使えます。

I-RECのデメリット

継続的な購入が必要
目標達成をI-RECだけに頼る場合、通常は1年分の電力使用量に相当するI-RECを毎年購入する必要があり、ランニングコストがかかり続けます。

発行者と供給量が限られる(インドネシアの場合)
インドネシアでは発行者(主にPLNや再エネ事業者)がまだ限られており、発行のタイミングや数量に制約がある場合があります。

償却の管理が必要
I-RECは「償却」して初めて環境価値として計上できます。そのため、取引所や第三者プラットフォームでの登録と償却の管理が必要です。

I-RECの活用方法

I-RECの活用方法は、自社で発行するか、他社から購入するかの2つです。

自社で発行する
自社が保有する再エネ発電設備(オンサイト太陽光など)の発電量にもとづいて、I-RECを発行できます。I-RECスタンダードにもとづく登録手続きと第三者による監査が必要ですが、発行したI-RECは自社で使うほか、他社に販売することもできます。

他社から購入する
自社で再エネ設備を導入するのが難しい企業にとっては、他社が発行したI-RECを購入するのが現実的な選択肢です。導入のハードルが比較的低いため、グローバル企業を中心に、I-RECの購入による再エネ利用が広がっています。

インドネシアの状況

インドネシアでは、ここ数年でI-RECの利用が急速に広がっています。CDPやRE100への対応を目的に、外資系企業や輸出型の製造業がI-RECの利用を始めています。REC制度は2020年に始まり、2023年末までにPLNを通じて5TWh以上が約296社に提供されました。2025年7月にはインドネシア商品先物取引所(ICDX)でREC取引所が正式に開設され、制度の整備と市場の拡大が見込まれています【2】。

国内では、国営電力会社PLNとその子会社(PLN Nusantara Powerなど)がI-RECの発行事業者として認証を受けており、主に大規模水力発電所から証書を発行しています。民間の再エネ投資が増えるにつれてPLN以外の発行者も増えており、国内市場はさらに多様になっていくと見られます。

一方で、証書を発行できる再エネ案件はまだ少なく、今後は需給がひっ迫して価格の上昇や入手難につながる可能性があります。必要量の見通しが立っている場合は、早めに調達を検討することをおすすめします。

太陽光とI-RECの組み合わせ

Alam Energyでは、オンサイト太陽光に加えて、I-RECスタンダードにもとづく再エネ証書の提供を脱炭素ソリューションの一つとしてご用意しています。提供するのは、グループ会社が出資する事業者が保有するスマトラ島などの水力発電所から発行された、発電源を追跡できるI-RECです。

太陽光とI-RECを組み合わせると、次のことができます。

  • オンサイト太陽光の発電量と総消費電力の差を、I-RECで補う
  • 太陽光を設置できない拠点でも、追加の設備なしで再エネ利用を主張できる
  • GHGプロトコル、CDP、RE100に沿った形で報告できる
  • CSRレポートや取引先への開示に、根拠のある数字を使える
Why renewable energy certificates matter to companies

オンサイト太陽光で土台をつくり、残りをI-RECで補うことで、再エネ100%までの道筋を描けます。お見積りや個別のご提案は、contact@alamenergy.co.id までお気軽にご相談ください。

出典

【1】https://localgood.or.jp/i-rec/

【2】https://en.antaranews.com/news/365381/indonesia-launches-renewable-energy-certificate-trading-platform